野田祐機のブログです

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これからの30年を考える7つのメガトレンド

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2012年は自分の中で、これからの30年を生きる最初の年としています。

尊敬する中島明さんも新年のブログでそのようなことを書かれていたので、ここで一度30年後の世界がどのようになるのかまとめてみたい。

これから30年の7つのメガトレンド

1.加速する人口増加-2050年に人口90億人に-
2.枯渇する自然資源 -現在の生活スタイルを続けるには地球2個分の資源が必要-
3.高齢化する社会
4.リアルとネットの融合 -不可欠なインターネット-
5.個人、市民、NPOの台頭 –Power to the people, power of the crowd-
6.変わる組織 ピラミッドからネットワーク型へ
7.Happyが中心の産業の進化 –マーケットの成熟とサービスの進化-

7つのメガトレンドとして、最初の3つは信頼できるソースの予測を元に、後の4つは書籍や自分の経験からまとめていきます。最初の3つは基本的でつまらないかもしれないので、その場合は後半の4つをどうぞご覧ください。

1.加速する人口増加 2050年に人口90億人に、影響力を増す中国、インド、アフリカ

 

これからの世界を語る時に、一番大事なポイントが人口の増加です。国連がまとめた資料によると、世界の人口は2011年10月31日に70億人になり、2050年には90億人になると予測されています。 この情報は世界各国の政策、大企業の経営予測に反映されている、現段階でこれからを予測するのに重要かつ最も信頼できる情報なので、まずこのポイントは覚えておいてください。図は国連のHPより

図でも分かるとおり、産業革命以降爆発的な人口の増加が続いています。今後、特に人口が増える地域は、アジア(特に中国、インド)、アフリカ地域です。

 人口が増えるとGDPは増える傾向にあるので、人口増加と比例して世界の中で中国、インド、アフリカの影響力が大きくなり、人口が減少していく先進国の影響が相対的に小さくなることは容易に予測できます。GDPの将来予測にはさまざまなものがあるのですが、信頼されるソースで最近のものがなかったのでこの辺でとめておきましょう。

国連は人口増加についての問題で7つあげていますが、日本人にとって世界人口が増えることでの特に重要な問題は、

1.地球環境の保護、資源の枯渇
2.高齢化の社会的な影響
3.都市化

があると考えています。

 1,2についてはこれが環境問題、社会問題になるので次のトレンドとして書いていきます。3の都市化については以前のブログで一部書いているのではそちらを参照下さい。

 人口増の問題やそれに対する解決策、新しい産業の可能性はさまざまなものがあります。人口増はこれからの世界を考える基本となるので、興味ある方は World Population prospects:The 2010 revision,日本語で概要のまとまったこちらの世界人口白書がおすすめです。

2.枯渇する自然資源 -2050年 現在の生活スタイルを続けるには地球2個分の資源が必要-

人口増加により増える食料、水、エネルギーの消費とこれまでの経済発展を優先した自然破壊は地球に大きな負担をもたらしています。

WWFのLiving Planet report 2010では、2050年までに人々が今の生活を続けた場合、地球2個分の自然資源が必要になるといわれています。当たり前ですが、地球は1つしかありません。それが2つ分必要になるほど、人口増加とこれまでの環境破壊は大きな影響であり、解決しないと世界中で資源、特に食料、水、エネルギーが枯渇します。食糧問題、水問題、エネルギー問題が声高にさけばれるのには、こういった背景があるのです。

簡単に関係するデータをまとめて紹介します

・2050年 現在の生活スタイルを続けるには地球2個分の資源が必要 WWF report

・人間が直接利用できる水は地球上の水の1%にも満たない UNESCO World Water Assessment Programme (WWAP)

・2035年までにエネルギーの需要は今よりも33%伸びる   IAE  World Energy Outlook 2011

IAEのレポートには福島原発の世界のエネルギー産業への影響も書いてあるので、気になる方はぜひどうぞ。

3.高齢化する社会

少子高齢化といわれ続ける日本。 この現象が今後世界中で起こり始めます。 特に顕著なのが先進国です。下記のグラフをご覧ください。

1950,2010,2050年における全人口のうち65歳以上が占める割合を示したグラフです。2010年から2050年の間に急速に65歳以上の方が右肩上がりで増えているのがわかります。

日本では3人に一人、先進国は4人に一人、世界では6人に一人が65歳以上になります。

この問題は日本では以前から言われてきた

1.社会保障費の増加.
2.世代間格差
3.労働人口減少、人口減少

 が世界的に問題になります。 特に先進国ではこれらを政策的にどう対応するかが焦点となります。

2050年をみると日本以上に緊急なのが、韓国、中国です。下記のグラフをみてください。

韓国は2050年までに急激なカーブで高齢化社会へ突入。 中国は2025年に人口14億人をピークとし、2050年に13億人にと少子高齢化社会へと変わります。中国の4人に1人が65歳以上なので、3億人以上の高齢者がいる社会となります。

この急速な高齢化は先ほどあげた3つが重くのしかかってきます。その時に真っ先に高齢化社会になっている日本がどのような解決を示すのか? 近隣の韓国、中国の影響を与えるかがポイントになってきます。

人口減少に関しては移民の話もよく言われます。アジアの経済大国、日、韓、中が移民政策をとった場合に間違いなく社会構造、アジアの文化が変わります。 高齢化とあわせてこのあたりもグローバルな視点で見ておく必要があると感じています。なにせ先進国は人口減少、途上国は人口増加という真逆のトレンドですので。

4.リアルとネットの融合 -不可欠なインターネット-

 ここでは少しテクノロジーの話を。電気自動車、クリーンエネルギーなど新しいテクノロジーが生まれていますが、必ずこれから30年間で重要になるのがインターネットです。
私はインターネットコンサルでもないし、それほど詳しいわけではありませんが、これからも世の中に最も影響を与えるものがインターネットです。ネットとリアルの壁が無くなり、より生活・社会に重要になってきます。

ここではツールやfacebookが。。といった話はしませんが、大きな視点でインターネットを見てみましょう。

インターネットの特徴

  1. Openであり、誰もが参加ができる
  2. フラットかつスピードが速い
  3. 一つの巨大なプラットフォームに世界中から参加できる(距離の壁を越える)

この三つの特徴が何をもたらすのかというと、

  1. 世界中の人がつながり、問題解決のコラボレーションを促進する
  2. 階層がなくなり、事業や社会変化のスピードを上げる
  3. 人種、年齢、性別を超えて、実力のある人が富を手に入れることができる。(反面、Super competition を引き起こす)

このようなことがリアルな世界でも起こりうると考えています。今の携帯のアプリ、ネットサービスをみればわかりますが、最初から世界をマーケットにローンチしています。これらのサービスは基本パソコンでコードとデザインができれば誰でも参入できます。参入障壁がとてつもなく低く、年齢、地域、性別を問わず誰にでもチャンスがある代わりに、世界中の人との競争をする必要があります。

リアルに影響を及ぼすといった意味でそれをよく表しているのがWikipediaやLinuxなどのプロジェクト、大きなくくりでいう Web 2.0の概念です。

私が言いたいのは、2000年ごろから始まったこのWeb 2.0の概念がリアル世界に影響をもたらすのがこれからの30年です。ユーザーの参加、信頼、分散、ロングテールといった、このWeb 2.0の概念がいよいよ現実の世界に影響を及ぼし世界を変えていきます。そしてWebとリアルの境界線はほとんどなくなってきていると感じています。

その実例を以降で紹介しましょう

5.個人、市民、NPOの台頭 –Power to the people, power of the crowd-

さきほど書いたWeb2.0の概念が顕著に現れるのが、個人の台頭です

インターネットの登場により、

  • コラボレーションが容易になったこと
  • 知識量が増えたこと
  • 情報発信ができるようになったこと
  • 変化の速度が速まったこと

 が影響を及ぼしています。

それこそWikipediaのような群集の力をかりてつくる辞書や、Readyfor などのソーシャルファンディングに代表されるように、これまで一部の人の力が社会に大きな影響をあたえていた構造が、たくさんの人の小さな力があつまって大きな影響力を持つようになっています。

特に市民、その市民活動の一つのNPOが今後影響を持つようになります。行政、企業、NPOといったこれまでバラバラに活動していたものが、今後はより密接に連携して問題解決を図ります。

実は先日、これを体感したことがありました。 世界銀行のセミナーで助けあいジャパンの石川さんがプレゼンをされ、そのQ&Aセッションで各国の大使館のPR担当、日本の外務省の方が積極的に情報発信について質問されていました。 特に英語での発信については外務省、内閣府の方がアドバイスを求められていました。

その時感じたのが、「国がNPOにアドバイスを求める」。 協働が始まっていることを実感しました。これまでは国の方針、やり方に従っておけばよかった。トップや「中央」と呼ばれるものが全てを支配し、周りは従うだけ。 でも今はNPOや市民団体に国や公の機関がアドバイスを求める時代なのです。協働が進む時代なのです。それだけ変化が激しい時代なのです。

その様子はこちらのUSTでみれますので、ぜひ見てください。 すごい時代だと実感しますよ。

 

6.変わる組織 ピラミッド型からネットワーク型へ

先ほどの市民の台頭とあわせておきるのが、組織のあり方が変わってきます。ゲイリーハメルの経営の未来の言葉を借りると、「未来は容赦しない」のです。

20世紀を代表するGMが倒産し、googleなどの若い企業が伸びている理由はこの組織運営にあるといわれています。

現在の組織の特徴

  • ピラミッド型
  • 階層により権限の序列が築かれている
  • 一人一人の仕事の範囲が定義され、目標が明確化されている
  • 縦のコミュニケーション:戦略、伝達はトップからボトムへ
  • トップの判断で全てが決まる
  • 規律、ルールが整い、製品やサービスの品質は均一化する

このピラミッド型組織が今変わりつつあるのです。

既にグーグルやゴアテックスなどの有名企業、またLinuxなどのオープンソースのプロジェクトではこれとは違う組織体形をとりつつある。もちろん、私が関わっているプロジェクトもそうありつつあると感じます。

これからの組織はこのピラミッドではない。格子型、ネットワーク型ともいわれる新しい形です。

ネットワーク型の組織が生まれる最大の理由は、「変化のスピードが早い」からという一言につきます。変化はいつの時代も常にあるのですが、その変化のスピードが早いということがここ10-20年の大きな変化なのです。 そこにネットによる情報過多が恒常化し、下記のようなことが起こっています。

  1. スピード化によりトップの情報収集、意思決定の遅れが全体へのインパクトが大きく、中央集権型では対応できなくなってきている
  2. 情報が多いため、本来乖離しているはずの経営トップと現場の知識格差が狭まる(情報格差ではなく、知識格差。今の時代MBAの知識はネットで学べる。経験は別)
  3. スピードが早く問題が複雑化することで目の前のことを淡々とこなす作業から、さまざまなことを平行して進める必要がでてくる(決められたことをやるだけでは対応できない)

この3つのことから、ネットワーク型組織では下記のように運営が行われる

ネットワーク型組織

  • 階層がフラットでリーダーはまとめやく、調整役となる。個人には専門性と自発性が求められる
  • 一人一人の仕事の範囲は幅広く、時にそれぞれが連携しながら仕事を進める
  • 情報は基本的に全体にオープン。コミュニケーションは横方向
  • 全員の投票または合議で意思決定が行われる
  • 各自の自主性が尊重され、イノベーティブなアイデアが多くでる。反面品質、クオリティーにばらつきがある

よくジャズ型の組織といわれることがありますが、ネットワーク型組織は基本は個人の自発性と専門性が重要になります

実はピラミッド型組織はフォードが車を大量生産した時代にほぼ完成したといわれています。 決められたことをやる労働者とそれを監督するマネージャー。 その当時の企業規模はだいたいが50人以下でスピードも遅い。 実は我々は100年前から同じ組織の形をしているのです。時代にマッチしないのも当たり前な気がしています。 詳細は経営の未来を見てみてください

7.Happyが中心の産業の進化 –マーケットの成熟とサービスの進化-

ハッピーな世界に! と書くと、頭おかしいんじゃないの?と言われますが、あえてまじめに書こうと思います。世界がハッピーな方向へ向かうことは実はドイツで有名なコンサルタントに聞いた話が元になります。 下記の図をご覧下さい

これはIndusrty shift と言って、産業がどのように発展し、企業がどのような方針をとるべきかを表した図です。シンプルな図ですが、これをそのとき聞いた誰もが納得した図です。

左から右に産業やお客が求めるものになっており、

原料の産業が飽和したら、製品を作り出す産業が生まれ、
製品の産業が飽和したら、サービスを作り出す産業が生まれます。
最後のサービスの産業が飽和したら、次はハッピーを生み出す産業が生まれてくる

といった内容です。 飽和としていますが、簡単にいうと競争が激化するからつぎの産業にシフトせざるをえないとお考え下さい。さまざまな企業が製品からサービス化への流れへとシフトしているのは容易にお分かりかと思います。車、ブランド品 といったモノがあまり売れなくなり、旅行やエステ、スポーツジム、電話やネット(コミュニケーション)などのサービス産業にお金はシフトしています。

そのサービスの産業が飽和、または差別化するときには、お客様にハッピーを届けるしか差別化できないと言われているのです。

今、現段階でこのハッピーの産業にいるのは、たった一社。あの、ディズニーランドを経営するディズニーだけ。ディズニーではなく、ディズニーランドというのが正しいかもしれません。ただ、最近良く聞くザッポスやリッツカールトンのように顧客を引き寄せるサービスを提供するところは実はハッピーの産業へのシフトしているとも考えられます。

よく言われるホスピタリティーとはこういうことなのかも知れません。 今はサービス産業も競争が激化しています。お客様にいかにハッピーを届けるか? どうホスピタリティーを提供するか? これって実は日本人に得意な分野です。

ハッピーという経験、おどろきが大事といわれますが、今後はそこに人はお金を使うのです。 だからこそ、企業はホスピタリティーを徹底し、社会のためにCSRも徹底していきます。 大きな視点で見ていくと、産業が成熟化し競争が激化することで、世界はハッピーな方向に進んでいると考えます。

ちなみにザッポスでは人材をY理論(人は本来よいことをするものだ)ということに基づいて運営されています。 基本、人は善意というのは、Web2.0で唱えられているユーザー参加型でも言われていることです。 こう見るとWeb2.0の概念がリアルな世界に移ってきているのがお分かりいただけるかもしれません。

最後に

MBAはもう古い。 私はある役員にそういわれたことがあります。(私の会社はMBAホルダーがいっぱいいる外資です)これからは心理学や人に関わることが重要になる。とその方はおっしゃっていました。

私は化学業界にいて、まさにマテリアルを作る産業にいるのですが、部署では製品を作り、サービスも提供する。今、みんなが口をそろえて言うのは、お客様のハッピー。そこでしか差別化がもうできません。さきほどのIndustry shift を毎日実感しますし、組織の形がネットワーク型に変わりつつあるのも感じます。

お客様にハッピーを届けるときに、一番大事なのは人です。 営業担当やコールセンターの人。この人たちの対応力が企業のコアバリューになるのです。ディズニーランドがキャストを大事にし、リッツカールトンが従業員に20万円の権限を与え、ザッポスのコールセンターの人たちが顧客と長電話できるのは、彼らの対応こそがハッピーを届ける企業のコアバリューだからです。

上に上げたトレンドで、共通するのは「人・個人」です。 人口は増え、高齢化、組織の形態は変わっていきます。世界がフラット化したからこそ、階層がなくなり最小単位である個人が台頭する時代が現れたのです。
これから30年、実は一番のビックトレンドは人・個人。

Facebookで毎日つながり、情報をシェアする。 これほどまでにも人がつながるとは、5年前では考えなかった状況です。インターネットは20年前にはなかったんですから、これから30年で社会がどうなるか、わからないですよね。

私は30年後の社会がどうなるか楽しみです。そして、その時社会を作るのはもう私たち市民の時代と思っています。

 

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P.S 今回はトレンドをポジティブに書きましたが、世界的にみたら人口増加による貧困が最も解決すべき課題というのを忘れずに書いておきます。そして、格差も広がります。 比較的豊かな先進国に住むものとして、どのように課題解決に貢献すべきか? この部分はまた別の機会に

  • この記事を書いた人

野田祐機

外資系企業、NPOを経て、2016年に株式会社forsistersを起業。eiffelという手紙サービスをやっています。 28歳からブログを始め、コミュニティーやこれからのトレンド、古典、英語学習などの記事を書いています。 プロフィールはこちらから http://learnbydoing.jp/aboutme/

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